第1回チームネクスト・プレイベント「見学&セミナー合宿 in 京都」レポート

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2012年9月11日
チームネクスト事務局長 清野吉光

 

第1部 株式会社キャビック兼元社長による福祉・介護事業セミナーレポート

 

全国でもタクシー事業者の福祉・介護事業に対する取り組みで先進的な事業者のひとつである株式会社キャビックの兼元秀和社長にその取り組みとノウハウを語って頂いた。当初事務局からお願いしたテーマは3つ

(1)キャビックの福祉、介護事業の歴史
(2)タクシー事業の将来と福祉、介護事業
(3)福祉、介護事業を手掛けるために何が必要か?

このテーマに対し、兼元社長は93ページに渡るパワポイントの資料を用意して下さり、我々が企図した以上の詳細でかつ内実のあるプレゼンで応えて下さった。とてもその内容の全てをここで紹介しきれないので、是非チームネクストの交流サイトに兼元社長のプレゼンの動画を全部収録してあるので、そちらをご覧頂きたい。ここではその概要を事務局なりに受け止めた内容を紹介したい。

1、株式会社キャビックの概要と歴史

セミナーでは京都放送(KBS)のこの4月に放送されたキャビック取材のビデオの放映から始まった。ケア&ケアタクシーという時間制のケア輸送運賃に基づく、介護保険を使わない介護タクシーの紹介があり、地域のお年寄りに支持されているキャビック様の取り組の様子が印象に残る。

 

そして兼元社長からタクシー業界の歴史と現況が紹介され、何故キャビック様が福祉、介護事業に取り組むようになったのかの紹介があった。
キャビック様の福祉・介護事業への取り組みは介護保険法の登場によってにわかに「介護タクシー」が乱立した経緯とは違い1977年9月京都府初のリフト付き福祉タクシーに取り組み始めて以来のものである。
2000年3月2級ホームヘルパーを開講、9月には指定訪問介護事業所の指定を受け、「介護タクシー」をスタートし、2002年4月京都市精神障がい者訪問介護委託事業開始、20003年4月障がい者支援費制度における訪問介護事業を開始、1994年10月には居宅介護支援事業を開始し、その年12月には会社名をCAB+PUBLICを結びつけたCABIC(キャビック)に変更、会社の基本的な方向性を社名として表現した。

そして20005年7月に先程のテレビ放送で紹介された時間制介護付き外出支援サービスのケア&ケアタクシーを導入、そのサービスが2011年9月バリアフリー推進功労者表彰を受けた。
また2007年2月には京都で初めて夜間対応型訪問介護事業を開始、さらに移送の枠を超えた居宅系介護施設への参入を果たして行く。
2007年8月複合介護施設「ケアホームすいーとハンズ下京」(ディ・サービス/グループホーム)2008年1月「ケアホームすいーとハンズ向日」(小規模多機能型居宅介護/グループホーム)2010年6月、「ケアホームすいーとハンズ物集女」(グループホーム)を開設。現在のキャビック様の事業はタクシーという枠組みを超え、まさに「総合生活支援産業」の様相を呈している。兼元社長の資料によるさの関連事業は以下の8種類の分野に集約される。
そして、タクシー事業そのものも「地域密着型のキャビック移動サービス」として多様な広がりを持つ。

 

かくして2004年7月に答申された

交通政策審議会陸上交通分科会自動車交通部会
タクシーサービスの将来ビジョン小委員会報告書
~総合生活移動産業への転換を目指して~

の世界が実現されている事になる。当時この答申を主導したと言われる宿利正史総合政策局局長(現国土交通省事務次官)がキャビック様を訪問、見学された事の趣旨はうなづける。

2、タクシー事業の将来と介護事業

キャビック様は今「地域密着」をテーマに8つの課題を整理し、そして8つのクレドを「お客様への約束」として掲げる。
8つの課題とは兼元社長の資料によれば
 

 

であり、8つの約束とは

 

である。ある意味、ここにタクシーの未来への課題がすべて列挙されているのではないのだろうか?逆にこれに回答を与える事ができれば未来を引き寄せる事ができるのではないのだろうか?チームネクストの多様なメンバーがこれを実現していくための現実的な場として少しでも役立てば嬉しい。

 

3、福祉、介護事業を手掛けるために何が必要か?

兼元社長はこうした広がりを持ったタクシー会社の福祉、介護事業を手掛けるために何が必要かという問いに対し、三つのポイントを列記する。
 

とりわけそのもっとも核心としての人材確保と育成のために、2010年より大卒新人を採用し、そして育成の場としてのタクシー乗務員を含むJOBローテーションとチームネクストを組織し、実践されている。こうしたタクシー業界では大手事業者でさえ手掛けない挑戦をする中で、現場の学び、実践を重視し、凡事の徹底、お客様との感動の共有と不断の社内研修を行っている。そして最後にこうした事の全てが最終的には経営者の「決断」なくして始まらない事をプレゼンの最後で象徴的に締めくくっている。

 

印象的なプレゼンテーションであった。そしてタクシー業界のみならず、経営者が経営者であれば、必ずさけて通れない決断(熟考された判断+跳躍)の重さをその参加者に改めて問われるプレゼンであった。

 


第2部 グループホーム見学
第3部 「超高齢化社会におけるインフラとしての介護タクシーについて」
    (株式会社ユナイテッド 代表取締役 駒居義基氏)
のレポートについては交流サイトにて逐次掲載をして行きます。

以上

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